肩こりの原因になっている筋肉
目次
肩こり・首こりの原因になっている筋肉
一重に“肩こり”といっても、頸部、肩甲骨、肩関節にある筋肉はとてもたくさんあります。
肩こりや首コリの原因筋肉をしっかりと理解することは、予防するためにとても重要です!
肩こりが生じることが多い筋肉をピックアップし、紹介します。
○ 僧帽筋
僧帽筋は後頭骨〜第12胸椎から始まり、肩甲骨に集まって付着しているため、“ひし形”をしています。
この筋肉は背面にある大きな筋肉であり、一番表層に位置しているため、比較的触診しやすい筋肉です。
機能的に上部・中部・下部の3つに分けることができます。
- 僧帽筋の作用
- 上部線維
僧帽筋上部線維は、肩をすくめるような動作(肩甲骨の上方回旋運動)で働きます。
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- 中部線維
僧帽筋中部線維は、胸を張るように肩甲骨を後ろに引き寄せる動作(肩甲骨の内転運動)で働きます。
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- 下部線維
僧帽筋下部線維は、物を引くような動作(肩甲骨の下方回旋)で働きます。
- コリを発生する姿勢・動作
重いカバンを肩に掛ける、パソコンなどのデスクワーク、首元が狭い衣服の着用、追突事故、受話器を首と肩の間に挟むことで、コリを発生させます。
○ 肩甲挙筋
僧帽筋の上部線維の深層にある筋肉で、僧帽筋が短縮して硬くなっている状態では、触りにくい筋肉です。
僧帽筋上部線維と筋肉の走行が似ているため、二次的に肩甲挙筋の硬さが生じることがあります。
- 肩甲挙筋の機能
肩甲挙筋は、名前の通り肩甲骨を引き上げる(挙上)筋肉である一方で、肩甲骨が胸郭に固定された際には、頭頸部の側屈作用に変わります。
- コリを発生する姿勢・動作
重いカバンを肩に掛ける、受話器を肩と首の間に挟む、頭頸部を側屈した状態で本を長時間読んだりモニターを見るといった姿勢です。
○ 棘上筋
棘上筋は、肩甲骨の背側上部から上腕骨の骨頭につながる小さな筋肉で、インナーマッスルと言われています。
この筋肉は、上腕骨を肩甲骨に引き寄せる筋群である回旋筋腱板(ローテーターカフ)の一つであり、腱板がなければ腕を保持することができないため、とても重要な筋肉です。
常に働いているため負担が強いられやすく、過剰な作用によって断裂をきたす場合があります。
- 棘上筋の機能
棘上筋は、上腕骨の外転運動にとても重要な筋肉で、三角筋と共同して働きます。
- コリを発生する姿勢・動作
上腕部を肩より高く外転した状態での長時間作業、重い荷物を長時間持つ、肩関節を脱臼したことがある場合によくみられます。
○ 小菱形筋・大菱形筋
肩甲骨の内側縁から脊椎にかけてつながる筋肉が菱形筋で、肩甲骨の内側縁でも上部についているものが小菱形筋、肩甲骨の内側縁で下部についているものが大菱形筋です。
僧帽筋中間線維の深層に位置しており、インナーマッスルに分類されます。
「胸を張る」ような動きをすると、左右の菱形筋によって肩甲骨が脊椎に寄せられます。
- 菱形筋の機能
肩甲骨の内転、挙上、下方回旋が主な作用です。
日常では、引き出しを引く、背骨を伸ばして姿勢を保つといった動作がで使用されます。
スポーツでは、アーチェリー・弓道で弓を引いたり、テニス・ゴルフのスイング動作で使用されます。
- コリを発生する姿勢・動作
デスクワークやスマホ操作によって、肩甲骨が外転・上方回旋位となり、伸長された状態が長時間続くことで、コリを発生します。
○ 頭・頸板状筋
最も表層にある筋肉が僧帽筋でしたが、頭板状筋と頸板状筋は、僧帽筋よりも深層にあります。
後頭部〜頸部に付着している後頭下筋群の一つであり、後頭骨の耳寄りに付着しています。
後頭下筋群のなかでは比較的大きな筋肉で、アウターマッスルと捉えて良いでしょう。
- 頭・頸板状筋の機能
主に頭・頸板状筋は共に働いており、左右の板状筋が収縮することで頸部は後屈します。
頭頸部を左に倒したり(左側屈)、左を向く(左回旋)の時には、左側の頭・頸板状筋が働いています。
- コリを発生する姿勢・動作
デスクワークやパソコン業務で、あごが前に突出した姿勢で筋肉が短縮するため、コリを発生しやすくなります。
○ 頭半棘筋
頭半棘筋は、後頭下筋群の一つで、板状筋よりも後頭骨の中央に付着しています。
頭半棘筋の下側1/2は、頭板状筋の下に潜り込み、小さい筋肉ですのでインナーマッスルに分類されます。
- 頭半棘筋の機能
左右の頭半棘筋が同時に作用すると、頭頸部は伸展します。
頭板状筋と同様で、収縮した側に回旋したり、側屈します。
- コリを発生する姿勢・動作
デスクワークやパソコン業務で、あごが前に突出した姿勢で筋肉が短縮するため、コリを発生しやすくなります。